ブラックな働き方 バイトなのにブラック
キングオブブラック ラーメンバイト
飲食の中でもとりわけブラックのイメージが強かったラーメン店で修行をしていた頃の話。僕は起業する目的でこのラーメン店で働いていて、地元で人気のラーメン店だったため1日平均500人の来客がありこれを通常4人で回すシフトが組まれていた。
社員は店長1人、アルバイトメインでお店の切り盛りをしているのだけどアルバイトリーダーのシフトが拘束14時間実働11時間が週に3日組まれていて、これって会社としてどうなのかなって考えてしまった。もちろんこのシフトは双方同意で残業代も出ていたし、バイトリーダーの方は子供がいて収入が必要なこともあって勤務時間の長い方が良いとは言っていた。
でもさ、
14時間拘束ってどうなの?
3時間程度の休憩があるわけだけど朝10時に出勤して深夜0時に帰るってことよ?ほぼ1日を仕事だけに費やしているなんて考えただけでも恐ろしいしそれだけ働いて月20万弱なんてとても割に合わない。
その日1日、家族と話も出来ず、自分のしたいことも出来ず、家事も進まない。何よりこんな働き方をしていたら近いうちに身体を壊してしまう。僕には無理だ。
ブラックな働き方をしていた頃
そんな僕も仕事が生き甲斐だった頃は朝8時に出勤して深夜0時前には帰ったことがなかった。当然家族とも顔を合わせず会話もない生活が続いた。仕事が好きだったし面白かったけどストレスも相当あり些細なことで色んな人と喧嘩をしていた。しかもストレスが溜まっているという自覚症状がなくて普通にイライラオーラを出しまくっていて周りは大変だったと思う。
丁度その頃こんなことがあった。僕がクルマを運転しているときに横道から本道に出る時少し強引に入ってしまったため、後ろのクルマにパッシングとクラクションを鳴らされた。良くあるシチュエーション。まあイライラされても仕方ない、ごめんなさいと思ってクルマを走らせていたけどこれが次の信号で止まるまでずっと続いた。
さすがにカチンときて、「ちょっと言ってくる」と助手席の嫁さんに言いクルマを降りた。冷静なつもりだったが相手を見た途端怒りが込み上げてきて「なんか文句あるんか、しつこいんや❗」と怒鳴りながら相手のクルマのドアを蹴りまくってしまい、その後はあまり覚えていない。
車内に戻ってみると嫁さんが泣きながら震えていた。その時はイライラし過ぎて泣いている姿を見てもなんとも思わなかったけど、会社で何気なく話したらみんなから一線引かれてしまった。それでようやく僕の心が荒んでしまっていたことに気付いた。このままだとマズイ何とかしないとと考えた結果、仕事を辞め沖縄に住むことになった。
僕の例は極端かもしれないけど、僕自身ストレスを感じにくいため大丈夫だと思い無理をしてしまう傾向があって何らかの兆候から疲れてるとか大丈夫を判断している。
最初はストレスゼロでも
次に移った職場では深夜1時に終業なのだけど終わらず、みんなで次の営業時間に間に合うよう朝の5時まで残業代の出ない仕事を自主的にやっていた。
いつも同じパターンで最初は楽しいからいいよ、とかみんなのために、で残って作業していて感謝されるから続けられる。
でもこれが2、3年続くと大体疲れて辞めていってしまう。2年も毎回3、4時間深夜に働かされて残業代もでないなんて今じゃ考えられない。無理を重ねて好きで始めた仕事でも嫌いになって2度と来なくなってしまった。
そう、最初はみんな仕事が楽しいから頑張れるけど結局自分の不利益を我慢している訳だからいつまでも続かないし人によっては責任感で潰れてしまう。実際そうやって何人もの優秀な人や優しい人、真面目な人が傷付き辞めていった。一緒に頑張ってきた仲間が辞めるのは悲しい。でも僕はその事を改善しようとまでは思わず現状を受け入れるのみでそもそも改善できる事だとは思わなかった。
現場の責任者は何を考えていたか
知っていても見て見ぬ振り。そうしないと現状では店が回らない状況だった。利益が出ていない店舗の為結局みんなの責任感に甘えて店舗責任者は何の対策もしなかったし問題意識も無かったように思う。
今ならいろいろ考えを言えるし行動できる事もあるけど当時は残業代の出ない仕事が当たり前にあってそれに異を唱えると役職全員から非難される風潮があった。今もそういった会社もあるけどそもそも当時は反対意見なんか言えない雰囲気だった。そこで一店舗の店長が上司に現状を話してもまともに話を聞いてすらくれないし能力不足と見なされる。
利益が出ないと倒産するから必死になるのはわかるけどこうやって会社が労働力を0円で確保している状況はただの搾取だし店舗の存在価値も低いので社会にとっても不利益。コストを掛けすぎなのでもっと需要のあることにコストをかけるか生産性を上げる事を考えないといけなかった。
経営者側はどう考えているのか聞いてみたい
冒頭に話をしたラーメン店は研修やカウンセリングなど福利厚生に力を入れているけど、シフトを見る限り、働く人の生活はどんな感じでもお構いなしなんだなと思ってしまう。会社としては経済の先行きが不透明だから時給や待遇改善をしづらい状況かもしれないけど週5勤務のうち週3日の14時間拘束はあんまりだ。
部外者視点だと搾取感が凄い
雰囲気が良く楽しい職場でお客さんとも近いので喜ばれると嬉しいしこういうことをモチベーションにして頑張っていた。しかしこれらの従業員の善意や責任感に甘えて結果的に人材を酷使する環境をそのままにしている会社はいっそ潰れたら良いのにとか思ってしまう。人が集まり社会貢献をするために人の役に立つために会社を使って活動するのが本来の目的のはず。なのに会社存続のため誰かを犠牲にするなんておかしいでしょ。
理想の職場作りから可能性を見いだす
今ならこう言えるけど当時はそんな考えは全くなくただ同僚が同じ理由で朝まで仕事して同じ理由で辞めていくのを5年の間見ているだけだった。その職場も今では環境改善し、無駄で残業代の出ない居残りは無くなった。けど店舗によって、責任者によってはそうでないところもまだあると思う。
僕は店舗規模とか売上の大きさ、利益よりも人に喜ばれるサービスを提供していきたいと考えている。だから同じ職場で働く人もお客さんと同じくらい大事にしたい。職場が楽しければお客さんも楽しいし店にいる全員が楽しそうにしていたら僕も楽しく仕事出来る。自分の働いている場所から楽しさを周りに拡げていけたら素晴らしいなって思っています。
幸い店舗運営を任されるチャンスをもらったので先ずはこの職場を理想の職場にしていきたい。誰もが相手を尊重し自由に意見を言い合い、入社1日目のアルバイトさんでも良い意見なら採用する。楽しく働く事や生産性を上げる事、相手を喜ばす事を一人一人が常に考えて行動できるようにしていく。
労働環境は10年前と比較して良くなっているので今後も改善が進んでいくと思う。但し収入はこのまま何もしないと減少していく可能性は高いので今以上に何にお金を使っていくか、を吟味していくことが大事になっていくだろう。お金を貯めて安心するのではなく何に価値を感じどう使っていくか考える時期に来ているのかもしれない。